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不動産売却のための基本知識

不動産売却のための

​基本知識

その10 不動産に関する専門家たち

▶︎宅地建物取引士

宅地建物取引士とは、土地や建物の売買などの取引を行うために必要な資格です。不動産会社や、土地や建物の取引を一緒に行っている建設会社の場合、不動産業を営む事務所を行う事業所において5人に1人(20%)以上の割合で宅建主任者を配置しなければなりません。

宅地建物取引士は不動産の売買・貸借時に、物件について事前に伝えなければならない重要な事項をお客さんに説明する専門家です。このため、宅地建物取引士は不動産取引のプロと言われています。

宅地建物取引士の仕事
  • 重要事項の説明

  • 重要事項説明書への記名押印

  • 37条書面への記名押印

 

宅地建物取引士でないとできない仕事とは、重要事項の説明、重要事項説明書への記名押印、37条書面への記名押印の3つです。結果として宅地建物取引士ができる仕事は3つだけなのですが、不動産業を営む上ではなくてはならないものです。重要事項とは、物件についての権利関係や法的な制限のほか、取引条件などのことで、これらを記載したものが重要事項説明書である。宅地建物取引士は、宅地・建物の取引について、書面の内容などに間違いがないかなどの責務がある。

▶︎司法書士

司法書士の仕事は売却や購入をした不動産登記又は供託に関する手続について代理すること。です。「不動産登記」とは一般的にはなじみの薄いものですが、簡単にいうと土地や建物といった不動産が誰のものかを公示するためのものです。例えば家や土地などの不動産を売買したときに、この不動産が誰からいつ所有権が移ったかを法務局で閲覧できるように記載する手続きが「登記」です。

不動産は動産のように持ち歩いたり、自分の鞄にいれて保管したり、名前を書いておいたりできないため「この不動産はいつ誰から取得したものです」ということを皆に公示しておくことが必要なのです。また、抵当権設定のように不動産を担保にお金を借りるときも司法書士が手続きをします。これも「この不動産には抵当権がついている」ということを公示することによって取引の安全を図るためです。

 

たしかに、一般の人が家や土地を売ったり買ったりする回数は一生にそう何度もありませんし、もし家や土地を売買することがあっても個人から個人へというケースは稀で、大抵は不動産業者が仲介に入ります。ですので、司法書士はそういった不動産業者から仕事の依頼をうけるのが通常です。また、抵当権の設定などは融資主となる銀行が仕事の依頼主となる場合も多々あります。

不動産登記の仕事内容については額が大きいのでうっかりミスなどが許されない業務です。決定した事項を間違いないように書類作成し、法務局に提出することが業務内容となります。登記にかかる印紙代が不動産の取引金額によって変わってきますが印紙代はかなり高額となる場合がおおいですので、一見、仕事は単純に見えたとしても責任は重い仕事です。

不動産に興味がある人は不動産登記をしていても面白いでしょうし、実際仕事を受注する不動産業者との会話も弾み、自身の知識となっていきます。 実際に不動産の売買価格や売買数などはその地域の経済状況を顕著に表します。そういった場面に携われることは、常に社会状況をリアルに知ることができるという意味でも強みとなります。司法書士には、取引時の登記書類作成でお世話になる事になります。

▶︎弁護士

不幸にも、不動産の売買・賃貸やマンション管理を巡るトラブルなどが発生してしまった場合に、不動産に関わるトラブルを解決を依頼します。
不動産を巡る法的問題やトラブルとしては、以下のものが挙げられます。

  • 不動産の売主・買主間のトラブル

  • 土地の賃貸人・賃借人間のトラブル

  • アパート、マンションの賃貸人と賃借人との間のトラブル

  • マンションの管理組合と住民との間のトラブル

  • 隣人との境界を巡るトラブル

不動産トラブルは、非常に広い範囲の問題ですが、様々な法的解決の手段があります。不動産トラブルの場合、当事者間が感情的に対立しているケースもあります。このため、早い段階で弁護士に委任することもあります。例えば賃貸借を巡るトラブルの場合、賃貸人・賃借人のいずれの立場でも、まずは相手方と交渉を行い、話し合いによる解決ができないかを探ります。弁護士に委任した場合、窓口は完全に弁護士に一本化されます。

また、弁護士による事件処理も行います。賃貸不動産物件を売買する場合に、入居者の立ち退きトラブルが発生する場合もあります。自身で円満に解決できない場合は、弁護士が依頼者の代理人として、協議・調停・裁判・強制執行を依頼する事もできます。建物明渡事件の場合、占有者が自主的に建物から出ず、強制執行を行わざるを得ないこともあります。弁護士には、不動産トラブルが発生した場合にアドバイスを受けることができます。

▶︎測量士

測量士(そくりょうし)とは、測量を行う為に必要となる国家資格です。測量士は、一筆ごとの境界、所有権以外の権利境界、地目の境界など、様々な境界を測量作業の対象とし、測量に関する計画を作製し、または実施する事の出来る資格を持った人です。

▶︎土地家屋調査士

土地家屋調査士の仕事は、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすることです。土地家屋調査士は、不動産の物理的状況を正確に登記記録に反映させるために、必要な調査及び測量を行います。具体的には、不動産(土地又は建物)の物理的な状況を正確に把握するためにする調査、測量の事を言い、例えば、土地の分筆登記であれば、登記所に備え付けられた地図や地積測量図等の資料、現地の状況や隣接所有者の立会い等を得て公法上の筆界を確認し、その成果に基づき測量をすることになります。

また、不動産の表示に関する登記の申請手続について代理を行います。不動産の表示に関する登記は、所有者にその申請義務が課せられています。しかし、その手続きはとても複雑で一般の方には理解しづらい事があります。そこで、土地家屋調査士は、依頼人の求めに応じて不動産の表示に関する登記の申請手続を代理します。不動産の物理的な状況を登記簿に反映するために、調査・測量の結果を踏まえ、建物を新築した場合における建物の表示の登記、土地の分筆の登記等の登記申請手続を行います。

また、不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続について代理も行います。審査請求とは、不動産の表示に関する登記についての登記官の処分が不当であるとする者が(地方)法務局長に対して行う不服申立てをいいます。

また、筆界特定※1の手続について代理を行います。筆界特定の手続とは、土地の所有者の申請により、登記官が、外部の専門家の意見を踏まえて筆界を特定する制度における手続をいう。


※1 筆界特定とは、土地の一筆ごとの境界(筆界:ひつかい)を決定するための行政制度のことです。筆界特定登記官が土地の所有権の登記名義人等の申請により、申請人・関係人等に意見及び資料を提出する機会を与えた上、外部専門家である「筆界調査委員」の意見を踏まえ、筆界の現地における位置を特定する不動産登記法上の制度です。土地家屋調査士のなかには、筆界の専門家として「筆界調査委員」を多数存在しています。土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間紛争解決手続について代理を行います。この業務については、民間紛争解決手続代理関係業務を行うのに必要な能力を有すると法務大臣が認定した土地家屋調査士(ADR認定土地家屋調査士)に限り、弁護士との共同受任を条件として、行うことができます。土地家屋調査士からは、上記の内容について相談やアドバイスを受ける事が出来ます。

▶︎不動産鑑定士

不動産鑑定士(ふどうさんかんていし)は、不動産の鑑定評価に関する法律に基づき制定された国家資格であり、不動産の経済価値に関する高度専門家です。不動産鑑定士試験に合格し、定められた手順を経た後に国土交通省に備える不動産鑑定士名簿に登録されます。

不動産鑑定士の独占業務は不動産の鑑定評価です。不動産鑑定士による仕事の成果物を、一般の人々が目にする機会は少ないです、その数少ないものとして、国又は地方自治体によって、年に数回、公開される全国の土地価格一覧(地価公示等)が挙げられます。これらは、発表の翌日に新聞紙面等において数ページにわたって掲載され、一般の人々でも容易に見ることが出来るので、おおよその土地の価格を知る手がかりになります。また、課税・公共事業等において規準として適用されます。

近年では、不動産が賃料収入等の運用益を目的とした金融商品としての性質を強めていることもあり、資格の性質も金融的な分析手法を求められる金融分野に属する資格としての性質を内在させるものへと変わりつつあり、収益物件の評価について専門的アドバイスを行えます。

▶︎ファイナンシャル・プランナー(FP)

ファイナンシャル・プランニング技能士(ファイナンシャル・プランニングぎのうし)とは、国家資格である技能検定制度の一種で、職業能力開発促進法第47条第1項による指定試験機関(社団法人金融財政事情研究会および特定非営利活動法人日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)が実施する、顧客の資産に応じた貯蓄・投資等のプランの立案・相談(ファイナンシャル・プランニング)に必要な技能に関する学科および実技試験に合格した者をいいます。

ファイナンシャル・プランナーとしての相談業務は、個人の資産に対する見直しやライフプランニングの提案という観点から、時に各士業の職域ボーダー線に近い立ち位置で業務を行うことが多く、FPとしての職分を弁えた行動を取ることが求められます。例えば、個別の税務相談は税理士、法律相談は弁護士の独占業務であり、一般論を踏み越えた個別内容の相談業務は税理士法・弁護士法に抵触するため、FPとして もう一歩踏み込んだ対応を行う事ができません。これら接近する各業法の制約がFPの業務の制約であると言え、より内容の濃いコンサルティングへと繋げるためには各士業者とのコネクションを確立するなどの業務遂行上の工夫が求められます。

 

ファイナンシャルプランナーからは、どの専門家へに聞いたら良いか分からない場合や、多岐にまたがる問題について解決するための方針・計画づくりのアドバイスが受けられます。

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